行動遺伝学技術開発チーム

 
 
  Axonal netrin-Gs transneuronally determine
  lamina-specific subdendritic segments.


  Nishimura-Akiyoshi S, Niimi K, Nakashiba T, Itohara S.
  Proc Natl Acad Sci U S A. 2007 Sep 11;104(37):14801-6.
 
 

  Rac-GAP alpha-chimerin regulates
  motor-circuit formation as a key mediator
  of EphrinB3/EphA4 forward signaling.

  Iwasato T, Katoh H, Nishimaru H, Ishikawa Y, Inoue H,
  Saito YM, Ando R, Iwama M, Takahashi R, Negishi M,
  Itohara S.
  Cell. 2007 Aug 24;130(4):742-53.    
 

  Molecular evidence for two-stage learning
  and partial laterality
in eyeblink conditioning
  of mice.

  Park JS, Onodera T, Nishimura S, Thompson RF,
  Itohara S.
  Proc Natl Acad Sci U S A. 2006 Apr 4;103(14):5549-54.    
 

  Glial protein S100B modulates long-term
  neuronal syna
ptic plasticity.

  Nishiyama H, Knopfel T, Endo S, Itohara S.
  Proc Natl Acad Sci U S A. 2002 Mar 19;99(6):4037-42.    
 

  Netrin-G1:
  a novel glycosyl phosphatidylinositol-linked
  mammalian netrin that is functionally
  divergent from classical netrins.

  Nakashiba T, Ikeda T, Nishimura S, Tashiro K, Honjo T,
  Culotti JG, Itohara S.
  J Neurosci. 2000 Sep 1;20(17):6540-50.    
 

  Cortex-restricted disruption of NMDAR1 impairs
  neuronal patterns in the barrel cortex.

  Iwasato T, Datwani A, Wolf AM, Nishiyama H, Taguchi Y,
  Tonegawa S, Knöpfel T, Erzurumlu RS, Itohara S.
  Nature. 2000 Aug 17;406(6797):726-31.    
 

 

  私達の“こころ”を生み出す脳は,神経細胞と神経細胞を結ぶ無数の複雑ながら整然とした回路からなる巨大なネットワークです。外の世界から入ってくる様々な情報と脳が自発する情報とは,脳内のネットワークで交わり統合されます。そして,新たな情報が生み出され、行動として出力されます。その結果,私達は,素敵な異性に心奪われたり、すばらしい芸術作品に感動したり、常に変化し続ける状況に注意を払い自分にとって有利な選択をしたり、また,時には自己犠牲さえ選択することになります。ネットワークの些細な違いは個性や性格の違いを生み、大きな機能破綻は記憶学習機能の低下や、うつ病や統合失調症,注意欠陥・多動性障害などを引き起こします。

 “こころ”を“生物学的に”理解するためには、神経回路のネットワークを理解することが必要です。神経はどのようにつながって回路を作っているのか?そうした回路は発達期にどのような仕組みで形成され,成熟するのか?また、個々の神経回路はどのように機能し,どのような役割を担うのか?そういった過程に,どういった分子群が、いつ,どこで、どのように働いているのか?これらの設問に取り組むためには、遺伝学的手法を用いた動物個体レベルの研究は必要不可欠です。そして,遺伝学的技術の粋を集めて適用できる最も高次な動物がマウスです。最新のマウス遺伝学的手法は、興味のある分子を任意の時間と場所で機能制御する手段を与え、特定の神経回路の機能を修飾することを可能としつつあります。

 マウスは私達とよく似た“こころ”を持ちます。彼(彼女)達にも、不安や恐怖や葛藤が生じます。報酬を求めて行動します。罰を避けます。愛があります。周囲に注意を払って状況を判断します。“こころ”を持ち“遺伝学的手法”が適用できるマウスは私達に様々なことを教えてくれる優れたモデル動物なのです。

 行動遺伝学技術開発チームでは、最先端の遺伝学的手法を駆使し,様々なモデルマウスを自ら作製しています。そうした世界に一つだけのオリジナルなマウスを,分子,細胞、回路,そして行動レベルで多角的に解析することにより、ネットワークの機能的意義を評価しています。その積み重ねが“こころ”の理解、精神疾患などの克服,さらには私達の相互理解の促進に繋がると考えています。